爬虫類飼育で必須のUVBランプ、本当にB波を出している?
通販で手に入る「UVBテストカード」を実際に購入して試してみたところ、まさかの結果が。
紫外線チェックカードの意外な落とし穴と、信頼できる代替手段を紹介します。
紫外線B波を感知してくれるカード、あったら便利
爬虫類を飼育するときに欠かせないのがUVBランプ。
そのUVBランプが「本当に紫外線B波を照射しているのか?」をチェックするためのアイテムとして、Amazonなどではカメレオンの絵が描かれたUVBテストカードなる商品が販売されています。
商品ページには「高い感度で素早くUVB波を感知できる」といったキャッチコピーが並び、いかにも頼もしい印象です。
カードの表面には「NOMOY PET REPTILE UV SENSOR」という文字が入っており、これが正式な商品名と思われます。
プラスチック素材の、わりとしっかりしたカードの表面にフォトクロミック素材(紫外線で変色する感光材)が塗布されており、紫外線に当たると色が変化してその存在を知らせます。変化した色の濃さで紫外線の強度もおおよそ視覚的に判断できる仕組みです。
もしこのカードが本当にUVB波だけに反応する性能を持っているなら、購入したUVB-LEDランプが本物かどうかの確認や、「曇りの日でもどのくらいUVBが届いているのか」などを簡単にチェックできる便利なアイテムになりそうです。
そこで実際に購入して、性能をテストしてみました。
B波のみに反応するなら、A波には無反応のはず
UVBテストカード買いました
爬虫類飼育に使うUVBランプのチェック用として販売されている、UVBテストカードを購入しました。
カードは厚みのあるしっかりしたプラスチック製で、フォトクロミック素材の寿命を延ばすために厚紙製の収納ケースに収められています。
商品説明には「使用しない時はこのケースに入れて保管することで、約500回再使用可能」との記載がありました。
私の手元に届いたカードには「MODEL:NFF-71」と印字されています。

本当にUVBにのみ反応するのかをテスト
名前の通り「UVBテストカード」なら、UVAには反応してはいけません。
そこで今回は、Amazonで購入した「DARKBEAM A300 Flashlight UV 365 nm」というUVAライトを使ってテストします。
ちなみにこのライト、商品説明では「365 nm」と謳われていますが、実際に分光器で調べてみるとピーク波長は372 nmでした。
わずかな誤差とはいえ、スペック表記と違うのはやや残念。しかし、しっかりとUVA帯の光を出していることには変わりありません。
アイエエエ!? UVAに反応!? 反応ナンデ!?
UVAライトをカードに向けて約10秒間照射し、ライトを消してみると……。

ナ、ナンデ!? 変色してる。
しかも、けっこうハッキリ変色してるよ……UVAの照射で。

どういうことでしょうか? 私の買ったカードは、UVAにもバッチリ反応してしまいました。
これでは、UVBがまったく含まれていない光源でも、UVAだけで「UVB検出OK」みたいな結果になってしまいます。
私のカードがたまたまハズレ個体だったのでしょうか?
同じように見えても別物? 偽造品の可能性も
実はこのUVBテストカード、Amazonでは見た目がほとんど同じ商品が、いろいろな出品者から微妙に名前を変えて複数販売されています。
この手の商品には、本物そっくりの模造品や粗悪コピー品が混じっていることも珍しくありません。
つまり、私がハズレを引いた可能性もありますが、逆に「販売されているほとんどの品がUVAにも反応する“UVチェックカード”でしかない」という可能性も否定できません。
結論として、UVBテストカードの購入はある意味“博打”です。
まとめ:名前がUVBテストカードでも、UVAに反応する粗悪品あり
今回購入したUVBテストカードは、「UVB-LEDが本物かどうか簡易チェックできる」と期待していたのですが、結果的にはUVAにも反応するただのUVチェックカードでした。
このように、安価な紫外線チェッカー系アイテムは見た目が似ていても性能に大きなバラつきがあり、偽物や粗悪品をつかまされる可能性も少なくありません。
購入の際は注意が必要です。
UVBを正確にチェックしたいなら、専用のUVB強度計がおすすめ
紫外線ランプにどの波長の紫外線がどれくらい含まれているかを正確に調べるには、分光器を使うのがベストです。
しかし、分光器は高価で個人で導入するにはなかなかハードルが高いのが現実。
その代わりとしておすすめなのが、UVB強度計です。
Amazonなどで購入できる「RGM-UVシリーズ」は比較的手頃な価格で、波長帯別に3種類が販売されています。
- UVA用:RGM-UVA
- UVB用:RGM-UVB
- UVC用:RGM-UVC
このシリーズは短波側のカットフィルターがないという欠点があり、たとえばRGM-UVAはB波やC波にも反応してしまうのですが、逆に長波側のカットはしっかりしているため、RGM-UVBはA波に誤反応することはありません。
そのため、「照射光にB波が含まれているかどうか」を確かめたい場合には、RGM-UVBが最も適しています。
価格も9,000円前後と比較的手ごろで、性能に不安のあるUVBテストカードよりも、ずっと信頼できる選択肢です。
まとめ:最後に!
期待して買ったUVBテストカードが、まさかUVAにも反応するとは……。
紫外線アイテムの世界も、思った以上に出品者の業が深く、魑魅魍魎が跋扈しているようです。
今回のように、安価で便利そうに見える製品でも、性能のばらつきや“ハズレ”を引くリスクがあります。
もしランプの波長をしっかり知りたいなら、UVB強度計や分光器など、波長を見極められるツールを使うのが安心です。
カードは「ざっくり確認するおもちゃ」として割り切って使うくらいがちょうど良いのかもしれません。
まあ、それならもっと安価で買える普通のUVチェックカードを選ぶのが正解です。

