眩しい西日は車を運転するすべてのドライバーの敵
低高度の太陽光……いわゆる西日は、直接目に入るため非常に眩しく感じます。
特に車の運転中、進行方向の前方に太陽が位置すると、視界が妨げられて前方の確認が曖昧になり、危険極まりない状態となります。実際に事故を引き起こす原因にもなりかねません。
また、車のフロントガラスは基本的に紫外線(UV)をある程度カットしてくれますが、目に有害とされる長波長側のUVAやHEV(380〜420 nm付近の青色光)については、十分に遮断しきれないことが多いです。
つまり、西日が強い状態での運転は、交通安全の観点からも、眼の健康の観点からも望ましいものではありません。
……ということで今回は、運転中の西日の眩しさ対策として、私が愛用しているサンバイザーを紹介したいと思います。
ここでいうサンバイザーとは、頭に装着するフェイスシールドのようなタイプではなく、車の純正バイザーにクリップで取り付けて使うスモークカラーの透明ポリカーボネート板のことです。
これを使うことで、太陽が低い位置にあっても目に直撃する光を軽減し、良好な視界を確保できる便利アイテムになります。
Amazonで買った車用のサンバイザーを紹介
安価ながら導入効果は十分
私が使っているのはAmazonで購入した「UVワイドバイザー スライド式 PF-682」という商品です。価格は700円弱程度で、それほど高価なものではありません。
スモーク(茶色系)カラーのポリカーボネート板に、角度調整が可能な取り付け用クリップを備えた製品です。板の厚みはおよそ3 mmほどあり、太陽光を全体的に減衰させる効果が期待できます。
商品説明には「車に標準装備のバイザーと併用可能。波長200–380 nm透過率測定結果99.4%カット」とあります。この説明が事実であれば、短波長側の紫外線はしっかり遮断されることになります。
一方で、長波長側のUVAやHEVについては完全にカットできるわけではないようですが、それでもサンバイザーを通過することで光の強さが減衰し、眼への負担が軽減されます。
結果として、眩しさを抑えることで視界が改善され、安全運転に貢献するだけでなく、HEVが原因となる眼病予防の一助となる可能性もあります。

実際に取り付けたところ
分光器で測定! サンバイザーの実力を数値検証
製品レビューを「使用した感想」だけで終わらせるのは不完全です。
そこで、分光器 HPCS330UV を使って、サンバイザーのUV & HEV 透過率を実際に計測してみました。
太陽光

9月の下旬、曇りの日の測定でしたが、それでも紫外線の存在はしっかりと確認できました。
車のフロントガラス越し

今回は諸事情で代車を借りているのでekワゴンでの測定。
この車のフロントガラスは、紫外線をほぼ完全にカットしていましたが、400〜420 nmのHEV帯の光は9割以上透過していました。
フロントガラス+サンバイザー

フロントガラス自体のUVカットが優秀なため違いは分かりにくいですが、サンバイザーを追加することで、400〜420 nm帯の光もわずかにですが、軽減されているのが確認できました。
3枚のスペクトルを比較

比較がしやすくなるように、3種類のスペクトル図を重ねました。
一番薄い色が太陽光、次に薄いのがフロントガラス越し、最も濃いのがサンバイザー越しの光です。
太陽光 > フロントガラス越し > フロントガラス+サンバイザーの順に光の透過率が全体的に低下しており、特に気になる400〜420 nmのHEV帯の光もわずかに弱まっていることがわかります。
数値的な変化は小さいですが、実際の使用感としては眩しさの軽減効果が明確に体感できました。
サンバイザー単体のUVカット性能

サンバイザー自体のUVカット性能についても、念のためテストを行いました。
スペクトル図では、薄い色が太陽光、濃い色がサンバイザーを通過した後の紫外線強度を示しています。
結果を見ると、太陽光が全体的に減衰し、特に380 nmまでの紫外線については大きくカットされています。
ただし、メーカーが公称する「波長200–380 nm透過率測定結果99.4%カット」という数値ほどの性能は確認できませんでした。
もっとも、この製品は基本的にフロントガラスのUVカット機能と併用することを前提にしており、単体性能だけを追求する必要はあまりないため、実用上は大きな問題にはならないでしょう。
結論
今回紹介したサンバイザーは、西日の眩しさを間違いなく軽減してくれます。
太陽の高さに合わせて角度を調整でき、車に付けたままにしておけば必要な時にすぐ使えるうえ、使わない時も邪魔にならない点が優秀です。
また、スモークポリカーボネートながら透明度が高く、視界のクリアさが保たれる点も安心材料です。さらにUVカット機能を備え、HEVも多少は軽減できるため、目に優しいカーアクセサリーといえるでしょう。
ただし、眼病のリスク要因とされる400〜420 nmのHEVを完全に防ぎたい場合は、このサンバイザー単体では不十分です。より確実に対策するには、UV420対応のサングラスやオーバーグラスを併用するのがおすすめです。
最後に
今回のサンバイザー紹介記事では、分光計を用いてフロントガラスやサンバイザーによる光の透過率をスペクトルで具体的に確認してみました。
数値的にはわずかな差に見えても、サンバイザー1枚を追加することで、実際の体感としては眩しさの軽減がはっきりと感じられました。
これは、普段のドライブ中に感じる「疲れやすさ」や「眼の負担」といった感覚に直結する部分であり、単なる数値以上の意味を持っているといえるでしょう。
身近な光環境を「数値化」することで、これまで漠然としていたUV・HEV対策の有効性を実感できます。今後もこうしたスペクトル測定を通じて、購入した光対策アイテムも検証し、実用的なレビューにつなげていきたいと思います。


